こんにちは、「REGAL TOKYO」の斎藤です。
ゴールデンウィークが始まりましたが、皆様連休はどのように過ごされますか? 銀座へお越しのご予定があれば、ぜひ当店にお立ち寄りください。この近くのお店も、普段通りに営業するところが増えてきましたので。


  ところで、今週はまたまた工房職人の九分仕立てインプレッションです。3月に、去年の秋の九分仕立て限定受注会でオーダーした靴が出来上がってきたことをお伝えしましたが、その靴を2ヶ月間履いてみて、どのような印象だったのかをお伝えしたいと思います。これを機会に九分仕立ての靴に少しでも興味を持っていただけたら、ぜひゴールデンウィーク中にでもいらして、試し履き用のサンプルシューズをどんどん試しちゃってください!
 

 

  それではまず、中底の状態から(いきなりマニアックな視点でゴメンナサイ)。通常のグッドイヤーウェルト製法の靴と大きく異なるのがこの中底のつくりで、厚みは4.5mmもあります(普通のグッドイヤーウェルトは2.0mm~3.0mmくらい)。そのため、足裏の形状にへこむまで、すこし時間がかかるはず...と思っていたのですが、意外にもしっかり足裏の凹凸が写し取られていました。それに、これだけの厚みがあるにもかかわらず、返り(底の曲がり)が良いのには驚きです。それでいてしっかりとした剛性が感じられ、地面の凹凸をダイレクトに拾ったり、足元がブレるような感覚は皆無です。



  フィッティングについては、ニの甲(ウエストガース)~三の甲(インステップガース)の峰の部分を内側にずらしたことにより、足の内外にかかる圧が平均化された印象で、木型にぴったり釣り込まれた形状とあいまって、足全体を面で押さえてくれる印象です。履き始めの時期には、部位によって多少力のかかり方が違うかな?という感じもありましたが(それでも普通の既製靴に比べればかなり良かったのですが)、馴染んできてからはほとんど違いを感じなくなりました。

 

  でも、普通はそういう足に馴染んだ靴と言うのは往々にして足なりに「変形」してしまっているのですが、この靴の場合は型崩れはほとんど見られません。これは職人が少しずつ、しかしかなりの力で釣り込んだために、既製靴ほど革の伸びる余地がないということ、もともと足なりの複雑な形状の木型を更に個々人の足型に合わせて修正してあることなどが型崩れが少ない理由として挙げられると思います。


  踵の作りも九分仕立てならではで、表には見えないものの、厚い革で出来た月型芯が入っています。そのため、履き口でしっかり踵を捕まえてくれます。また、踵の大きさそのものも小振りですので、やはり面でしっかり包み込んでくれる印象です。それでいてヒールカーブはあまり強くないので、履き口後端が食い込むことも少なそうです。


  それから目立たないところですけど、タン(舌革)という甲を押さえるパーツの裏革がつま先から続いていて、切り替えの段差がないのも非常に珍しいことで、これも繊細な履き心地に貢献しているんですよ(普通のヒモ靴はほとんどここに段差があるんです。お持ちの靴の中を手で触ってみてください)。

 

20110428-2.jpg そして気になる革の風合いの変化はというと...、正直まだあまり変わっていないんです(汗)。それはそうですよね、10年単位で履くことのできる靴が、2ヶ月やそこらで味が出るものではないですよね。でも、とても細かい履きじわからも(履いている状態だと屈曲部に波打つ感じの大きなしわがほとんど見られないのです)、長く履くことによって、ただ「くたびれた靴」ではなく「履きこまれた靴」に変わっていくのだろうなあと思われます。

 


  この靴は大事に履いていただければ、10年以上履いていただける靴です。それは、実際に10年以上履いた様々な靴を見ていて思う漠然とした予測なのですが、九分仕立てという製法には既製靴にありがちな構造上の欠点が見つからないことからくる確信でもあります。

 

  確かに9万円弱という価格は現在の既製靴の価格と比べれば、かなりの高額です。しかし、かつて靴が大量生産されていなかった時代、それはそんなに古い時代のことでもないのですが、靴は1ヶ月の稼ぎのかなりをはたいて誂えるものでした。時代によっては、それ以上に高価だった時もあるでしょう。 そういう時代には作り手の顔が見えていたものです。靴の具合が悪ければ「ちょっと直しといてよ」と言って作った本人に直接頼んでいたのです。

 

  この九分仕立ての靴には、そんな人と物との関係が現代よりももっとシンプルだった時代を思い起こさせてくれるものがあります。実際、この靴はビスポーク工房の3人の職人が何日もの時間をかけて作り上げたものを、自社工場の職人が熟練の技で底付けしたものです。そう思えば、確かに高価な物ですが、適切な金額と言えなくもないと思います。グローバリゼーションが進んだ現在、靴に限らず物という物は人件費の安い地域で作られるのが常となりました。それはそれで、経済の原則からすれば当然のことであり、否定されるものではありません。

 

  しかし、靴という日常生活においてとても重要な道具が、作り手の顔の見える、人と物との関係の原点におかれているというのも良いのではないかと思うのです。

 

     今回は少し冗長になってしまい、読みにくい点もあったでしょうが、最後までお読みいただいた方々、本当にありがとうございました。

 

 

  • REGAL SHOES
  • REGAL CORPORATION

backnumber

rss