靴の重さ

August 21 2009

こんにちは、工房の田尻です。今回は靴の重さについて書きたいと思います。


きっかけは、先日オーダーを頂いた際の、靴に対してのお客様のご要望でした。そのお客様は、ソフト感があって、こんなデザインでといういくつかのご要望の他に、「280g以下の靴を作っていただきたいのです。(23cm相当の靴で)」と仰ったのです。


確かに、今までも既製靴が重いから軽い靴が欲しい、というご要望はありましたが、今回は前代未聞の数値でした。というのは、甲革、裏革、中底、本底、ヒールなどのパーツの集合体である靴をそこまで軽くするのは、職人の感覚としては、「無理ではないか」、とその瞬間には思ってしまったからです。また、靴の「振り子の原理で、ヒトの歩行をアシストする」という機能面から見ても、ある程度の重さは却って必要なものだ、という思いを私としては常日頃から持っていたことも関係しているかと思います。


ただ、お客様の強いご要望なので、何とか実現するために、まずは実際にREGAL TOKYOで扱っている既製靴を量ってみました。グッドイヤーウェルト製法でできた25㎝サイズのもので、重さは約450~500gのものがほとんどでした。次に、我々が普段製作しているハンドソーンウェルテッド製法も含め、一つ一つの部材の重さをチェックしました。


素材の中で、大きな比率を占めるのは、思っていた通り、ヒール(革の積上げ)でした。


 その他に、甲革、裏革、芯材、中底など、軽さを重視しながら、普段使っている材料を全て他のものに置き換えられないか、見直していきました。


また、今回は、軽量化を図るために、製法も、根本的に考えてみることにしました。

本社の企画・製造の方に軽量化のコツを伺ったり、他の工房スタッフと議論し、今回は、軽量化がしやすく、屈曲性もあるマッケー製法で行こうと、方針が決まりました。普段我々が使っているハンドソーンウェルテッド製法では、今回の華奢なアッパーとお客様の求める履き心地には合わないと判断したからです。更に、仮縫い靴では、マッケー製法の他にボロネーゼ製法でも試してみることにしました。

部材の重量計測で、ヒール(革の積上げヒール)が一番重いのは解っていましたので、ヒールの素材と構造(強度)の関係からソールが一体となったユニットソールで作ることにしました。既成靴などでは、そういった仕込みをすることはあるのですが、量産のように事前に木型を決めないといけないので、オーダーでやる事は比較的少ないのです。底材の加工業者の方との、何度かの打ち合わせの中で、いろいろなご提案をいただきながら作成を進めていきました。

そんな風ないくつかの試行錯誤の後に、できあがった仮縫いの靴を量ってみると、234.5gと280gを大きく下回る軽さにすることができました。

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 当初は、こんなに軽い靴をどうしたら実現できるのか、と頭を悩まされましたが、いろいろと工夫を凝らすことで実現できたのは非常に良かったと思っています。これから、本番(本作り)に向けて、改良点が有るかも知れませんが、お客様のご要望に対して出来うる限りお応えし、少しでもお客様に喜んでいただけるような工夫を続けて行きたいと思っております。 

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